(1)愛着形成の欠如による影響
(2)コミュニケーション能力低下による影響
(3)家族の思い出が少ないことによる影響
(4)結婚への憧れの低下による影響
結婚当初は夫婦二人楽しく過ごし、子宝も授かって明るい未来を思い描いていたはずでも
長く夫婦を続ける中で夫婦関係が悪化してしまったという方も、悲しいことに少なくありません。
近年、日本では
シングルマザー・シングルファザーの家庭も多くなっています。
離婚までは至らなくとも、家庭内では夫婦の関係が悪く
会話もないという家庭が多くある事も、目を背けてはいけない事実なのです。
また、とても仲の良い夫婦であっても、
仕事や家事等ですれ違いが起きて
家庭内での会話やコミュニケーションが減ってしまっているというのも
近年共働き家庭が増えた日本では多くみられる現象なのです。
家庭内で夫婦の会話が無くなってしまうと、
夫婦関係が悪化するだけではなく、子供にも大きな影響を与えます。
今回は、夫婦の会話がないことによる子供への影響についてお話ししたいと思います。
この記事を読んで、ご家庭での会話が少ないと思われた方は
ぜひ夫婦で話合い家庭環境を改善して頂ければ幸いです。
(1)愛着形成の欠如
夫婦間で会話がない、不仲であるというのは、
子供の愛着形成に大きな影響を及ぼします。
特に乳児期や幼児期にそのような環境で育つと、
愛着形成が上手く育たず、子供は常に不安な状態となってしまいます。
適度な人見知りや後追いは成長の過程と言えますが、
極度に人見知りをする、後追いがいつまでも続く、
睡眠が短く物音に過敏であるなどと言った傾向が強く現れます。
両親からの愛情をたっぷりともらい、両親同士が想い合っている姿を見ながら育った子供は
愛着形成がしっかりと行われ、
「両親に見守られているから大丈夫」という安心と自立の心が徐々に芽生えてくるのです。
愛着形成が上手くされない場合、常に不安と恐怖を抱え、
ひどく泣いたり怯えたりするため、
「手の掛かる子」と勘違いしてしまいがちです。
子供の成長のせいにするのではなく、
まずは子供を取り巻く環境を見つめなおしましょう。
(2)コミュニケーション能力
子供たちは、親の言葉や行動を模倣して、様々なことを覚えていきます。
そのため、夫婦に会話がなければ、
当然子供も言葉を覚えるのが遅くなるでしょう。
夫婦で会話がなく、子供にも必要最低限の言葉しか掛けない家庭と
両親が揃ってたくさん子供に声掛けをする家庭であれば、
間違いなく後者の方が言葉の進みは早いはずです。
もちろん、子供の成長には個人差がありますから、
話しかければ言葉が早いというように単純な話ではありませんが、
子供がたくさん話したいと思える環境を作ることは、言葉の発達には非常に重要な事と言えるのです。
また夫婦間でコミュニケーションがない場合、
子供も同じような場面に出くわした時、
どのように対応して良いか分かりません。
例えば、
「ありがとう」
「ごめんなさい」
「ごちそうさまでした」
「貸して」
と、このような日常会話でも、
両親が言っていないのであれば、子供もなぜその言葉を言うのか、
いつ使うのかよく理解出来ないのではないでしょうか。
夫婦間でしていないことを、子供に「お友達にはきちんと言ってね」と教えても、
根本的な部分を理解出来ないままとなり、子供同士のトラブルにも繋がりかねません。
(3)家族の思い出が少ない
皆さんは、家族とのどんな思い出がありますか?
そう聞かれた時、パッと思い出が頭に浮かんだのなら、
それはとても素敵なこと。
どこに行った、こんな事をした、こんなことがあった。
大人になってそんなことを思い出し、
笑い合えるというのはとても素晴らしい事ではないでしょうか。
夫婦間が不仲であれば、出掛けることも、
一緒に何かをすることも億劫です。
夫婦同士は出来るだけ関わらないようにすればそれで良いかもしれませんが、
それに巻き込まれている子供はどうでしょうか。
家族の思い出で大切なのは、どんな良い場所だったか、
どんな凄いことをしたかではありません。
その思い出の中に、どれだけの笑顔があるかということなのです。
子供たちの心が育つ大切な時期を、大人たちの都合や気持ちで奪ってはいけません。
どんな些細な出来事も、子供たちが大きくなって笑えるような思い出にしていきたいものです。
(4)結婚への憧れの低下
夫婦間で会話がないという状況を間近で見てきた子供にとって、
「結婚」という事に幸せやメリットを見出すことは、とても難しいでしょう。
結婚というのは、お互いを認め尊重し、大切に寄り添って進むことです。
その見本を見ることが出来なければ、
結婚への憧れの気持ちはなかなか育ちません。
自分のことを支えてくれるパートナーが出来たとしても、
両親の不仲を見ていれば、
「結婚して一緒に過ごすうちに、自分も不仲になってしまうのではないか」
という不安にも駆られることになります。
両親の不仲で心が深く傷ついている場合、他者と一緒に住む、
または恋愛をするという事すら嫌がることもあるかもしれません。
夫婦間の不仲や会話がないことは、
子供が大きくなって結婚を考える時が来ても、影響を及ぼし続けるでしょう。
その結果、結婚への憧れの低下や、結婚へ踏み切る時の足枷となってしまうのです。
いかがでしたでしょうか。
「親の背を見て子は育つ」ということわざがあるように、
親のすることは全て、子供の見本となるのです。
それは、良い事も悪い事も全てです。
夫婦関係が悪化している方の中で、不仲になりたいと思っている方はいないでしょうし、
子供も私たちと同じようになればいいと思っている方もいないと思います。
「また以前のように夫婦で笑い合って過ごしたい。」
「子供にはどうか幸せな道を歩んで欲しい。」
きっと、そう願っているのではないでしょうか。
今からでも遅くありません。
子供はいつだって、育ててくれた親の姿を見ています。
今まで不仲な姿を見せてきてしまったのならば、仲直りした姿を見せればいいのです。
大人のいざこざや喧嘩は、子供のように明日には笑って仲直りとはならないことも多いですが、
改善しようという姿は決して無駄にはなりません。
きちんと子供が見ていてくれますから。
子供は親を見て育つ、そして親は子供に成長させてもらっているという事を忘れず、
どうか家族全員のために、夫婦が歩み寄り、
子供が健やかに成長出来る環境を作ってくれることを願っています。