退職代行サービスは、職場に直接出向くことなくスムーズに退職を実現できる便利な手段として近年注目を集めています。

しかし、利用にあたって気になるのが料金です。

料金体系は業者の種類によって大きく異なり、弁護士、民間企業、労働組合といった依頼先によってサービスの内容も変わります。

本記事では、退職代行サービスの料金相場と、各料金帯でどのようなサービスが受けられるのかを詳しく解説し、自分に最適な選び方を紹介します。

 

退職代行サービスの料金相場は依頼先によって異なる

退職代行サービスの料金は、依頼先の種類によって大きく異なります。

一般的に、弁護士に依頼する場合は高額になる傾向がありますが、法的な対応が可能です。

一方、民間企業は比較的安価でスピーディーな対応が期待できます。労働組合系のサービスはその中間に位置し、安価ながらも一定の交渉力があります。

それぞれの特徴と料金を把握しておくことで、自分に合った退職代行サービスを選ぶことができます。

 

弁護士の料金相場は5万円から10万円

弁護士による退職代行サービスは、5万円から10万円が相場です。

費用は高めですが、会社と直接交渉することや、未払い残業代の請求、ハラスメント問題への対応など、法的なサポートが必要なケースには最適です。

職場とのトラブルがある場合や、退職を巡って訴訟などが発生しうる状況では、弁護士に依頼することで安心感と法的根拠を持った対応が期待できます。

 

民間企業の料金相場は1万円から5万円

民間企業が運営する退職代行サービスの料金は、1万円から5万円程度が相場です。

この価格帯では、退職の意思を会社に伝えることに特化しており、手続きのスピードと手軽さが特徴です。

ただし、民間企業には交渉権がなく会社からの問い合わせには応じられない場合があるため、トラブルのない円満退職を希望する人に向いています。

 

労働組合の料金相場は2万5000円から3万円

労働組合が運営する退職代行サービスは、2万5000円から3万円程度の料金が一般的です。

民間企業に比べて若干高いですが、労働組合の資格を活かし、会社との交渉が可能です。

また、法的な対応はできないものの、未払い給与の交渉などにも応じてくれる場合があります。

費用とサービス内容のバランスが取れている点が魅力です。

 

退職代行サービスの料金による大きな違いは交渉権の有無と法的対応の可否

料金によって退職代行サービスの対応内容には明確な違いがあります。

大きく分けて「交渉権の有無」と「法的対応の可否」が主な違いです。

費用が高くなるほど、法的トラブルにも対応できる体制が整っています。

どこまでの対応が必要かを見極め、目的に応じたサービスを選ぶことが、満足度の高い退職を実現するカギとなります。

 

交渉権の有無

退職代行サービスを比較する際の最大のポイントの一つが「交渉権の有無」です。

交渉権を持つ労働組合や弁護士は、会社側と直接やり取りが可能で、未払い給与や有給休暇の消化などについても交渉できます。

一方、民間企業の代行業者には交渉権がないため、伝言役としての役割にとどまります。

職場と何らかの調整が必要な場合には、交渉権を有する業者を選ぶことが望ましいです。

 

法的対応の可否

もう一つの大きな違いが「法的対応の可否」です。法的トラブルが発生した際に代理対応できるのは弁護士のみであり、民間企業や労働組合にはその権限がありません。たとえば損害賠償請求をされた場合や、未払い賃金請求を法的に行いたい場合には、弁護士のサービスが不可欠です。

料金が高くても法的リスクがあるケースでは、安心して任せられる弁護士を選びましょう。

 

退職代行サービスは目的ごとに選ぶ

退職代行サービスは、自分の退職目的に応じて選ぶことが重要です。

サービス内容や料金、対応範囲に違いがあるため、目的に合った業者を選ぶことで満足度が高まります。

単に退職の意思を伝えるだけでよいのか、それともトラブルがあるのかに応じて、最適な代行業者を見極めましょう。

 

すぐに退職の意思を伝えたいなら民間企業の退職代行サービス

退職を一刻も早く伝えたい、出社せずに即日退職したいという場合には、民間企業の退職代行サービスがおすすめです。

料金も比較的安く、スピード感のある対応が可能なため、精神的負担が大きい場合や緊急性の高いケースではとても便利です。

 

質と安さを両立するなら労働組合運営の退職代行サービス

コストを抑えつつも、一定の交渉力を持ったサポートが欲しい人には、労働組合が運営する退職代行サービスが最適です。

料金は手頃ながら、労働組合の資格を用いて会社と直接交渉が可能です。

交渉が必要な場合でも、法的対応までは求めていない人にとって、バランスの取れた選択肢となります。

 

法的に対応する可能性があるなら弁護士に依頼する

職場でパワハラや未払い賃金など、法的な問題が絡む場合は、弁護士に依頼するのがベストです。

費用は高いものの、法律に基づいた対応が可能で、安心して任せることができます。

トラブルをしっかり解決したい、訴訟の可能性があるといったケースでは、弁護士の存在が心強い味方となります。

 

退職代行サービスの料金を比較するときの注意点

退職代行サービスを選ぶ際は、料金の比較だけでなく、その内訳やサービス内容をしっかり確認することが大切です。

安価な業者の中には、サポート体制が不十分だったり、追加料金が発生するケースもあります。

料金の安さだけに惹かれず、信頼できる業者かどうかを見極めましょう。

 

料金が安すぎる退職代行サービスに要注意

料金が極端に安い退職代行サービスには注意が必要です。

サポート体制が不十分であったり、実績が少ない業者も存在します。

安さだけで選んだ結果、退職がうまくいかずトラブルになる可能性もあるため、口コミや評判を確認し、適切な価格帯で信頼できるサービスを選ぶことが重要です。

追加料金がかからないかしっかり確認する

表面上の料金だけでなく、追加費用が発生するかどうかも確認しましょう。

初期費用が安くても、後から有給交渉や退職書類の送付代行に料金が発生する業者もあります。

全体の費用感とサービス内容を比較することで、予算内での満足度の高いサービス選びが可能になります。

 

退職代行サービスを利用する前にしておくべき３つのこと

退職代行サービスをスムーズに利用するためには、事前準備が重要です。

手続きを円滑に進めるため、必要書類の用意や会社への返却物の整理、退職後の対応などを前もって確認しておきましょう。

代行業者があなたの代わりに会社とやり取りをしてくれますが、本人が用意すべき情報が不足していると、思わぬトラブルや遅れにつながる可能性があります。準備を整えることで、より安心してサービスを活用できます。

 

退職届を準備しておく

退職代行を依頼する前に、退職届は自分で用意しておくと安心です。

多くの代行業者では退職の意思を会社に伝えるだけでなく、退職届の提出も必要とされます。

自身で書いたものをPDFなどで業者に送ることで、手続きがよりスムーズになります。

手書きでなくても構いませんが、フォーマットや文面の形式に注意し、失礼のない形で整えておきましょう。

 

会社の返却物をまとめる

退職時には、会社から貸与された物（社員証、PC、制服など）を返却する必要があります。

これらを事前にまとめておくことで、代行サービスが会社に返却の意思を伝える際にスムーズに対応できます。

返却方法（郵送・宅配など）を事前に決めておくとさらに安心です。トラブルを防ぐためにも、返却すべき物品をリストアップして確認しましょう。

 

退職後の手続きを確認

退職後は健康保険や年金の切り替え、失業保険の手続きなどが必要になります。

これらは基本的に本人が行うものであり、代行業者では対応できません。

退職が決定したら、必要書類の送付時期や各種手続きのスケジュールを把握しておくことが大切です。

特に離職票の受け取りなど、ハローワークでの手続きに必要な書類を会社から確実に受け取れるよう注意が必要です。

 

まとめ

退職代行サービスは、自分の状況や目的に応じて選ぶことで、ストレスの少ない円満退職を実現できます。

料金は依頼先によって異なり、それぞれ対応できる範囲も大きく変わります。

交渉力が必要な場合は労働組合、法的トラブルの恐れがある場合は弁護士、スピード重視なら民間企業と、自分に最適な選択をすることが大切です。

この記事を参考に、後悔のない退職の一歩を踏み出しましょう。